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質屋が解説「番頭さん」

今回は質屋の「番頭さん」について解説させていただきます。

 

江戸時代より商家使用人の最高地位を「番頭」と呼びましたが、質屋でも従業員の最高地位をそう呼ぶ場合があります。要は店長、社長の右腕といったところでしょうか。社長が接待ゴルフに行っている間も店を切り盛りする責任者ですね。

実務の最高責任者となりますから、商品の真贋はもちろん、相場感、人を見る目、法令知識なども必須で、それなりにキャリアを積んだ人間でなければ務まりませんし、ほかの若手従業員の面倒も一手に引き受ける頼れる存在です。

 

有能で忠実な番頭さんがいれば経営者は任せられる仕事が増えて楽になるわけですが、最初からそんな人材が見つかるわけもなく、若い頃から仕事を教え、キャリアを積ませることで店を任せられる存在に育てた一番弟子のような存在が番頭さんであったりします。

 

番頭さんとしてもいい経営者に巡り合えた場合は幸せですが、厳しい経営者に仕えると苦労が絶えません。高給優遇する代わりに、偽物を掴んだら自腹で弁償させるようなお店も過去にあったと聞きます。

 

社長の右腕のまま定年まで勤め上げる番頭さんもいらっしゃいますが、のれん分けされて独立したり、もしくは支店長として別の店を任される場合もあり、お店の規模によって状況はさまざまです。

 

 

しかしながら質屋は家族経営が大半で、番頭さんを置かずに親が社長で息子(娘)が番頭代わりとなる店も多いです。

雇われている番頭さんがいても、息子(娘)が後継者となる世襲の会社も大変多いのですが、その両方が存在する店の場合は時に複雑な問題が起こることも。

 

跡継ぎの息子は親元で修業をする場合もあれば、他の質店などで修業をしてから親の店に戻こともあるのですが、親の店には昔から社長に仕える優秀な番頭がいます。息子よりもキャリアも年齢も上で、社長は息子よりも番頭の意見を取り入れがち。息子にとっては目の上のたんこぶ、番頭さんにとっても息子は扱いづらい人間となります。

このような人間関係の難しさは質屋に限らず、どんな商売にでもある問題ですね。

 

しかし、お客様の大切な商品をお預かりし、また大きなお金も動く商売ですから間違いがあってはなりません。経営者と番頭さんの信頼関係は今も昔も最も大切といえるでしょう。

 

 

担当 (株)丸万質舗 川崎