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講談社Kiss誌12月号が発売されました

こんにちは!しちまるです。みなさんいかがお過ごしでしょうか?しちまるは元気です。

 

10月も残すところ後わずか、最近めっきりと秋めいてきました。1ヶ月前の猛暑が遠いことのように思えます。ラブストーリー同様、秋の訪れも突然にやってくるようです。

 

さて、今月も無事に講談社Kiss誌が10月25日に発売になりました。表紙を飾るのは我らが二ノ宮知子先生の「七つ屋志のぶの宝石匣」です。志のぶちゃんと顕さん二人とも装いは秋。チョコレートとオレンジが宙を舞っています。この組み合わせほろ苦くて甘くて、絶妙、人生も山あり谷あり同じですね。

そして巻頭カラーも「七つ屋志のぶの宝石匣」が飾っております。モチーフは黒魔術や占い師なのでしょうか。ネタバレしてはいけないので詳しくは書けませんが、今回のお話はちょっとオカルトっぽいお話です。エコエコアザラク!

今回の話のメインアイテムとして「ポイズンリング」という指輪が登場します。作中では、ヴィクトリア朝時代(Victrian era)に作られたこの指輪が重要な役割を果たします。

 

ヴィクトリア朝時代は、1837年から1901年の間、ヴィクトリア女王が大英帝国の王冠を戴いていた期間を示します。この時代、産業革命の影響で都市部への人口集中が進み、新興の資本家が莫大な富を築く一方、都市労働者階級も登場しました。イギリスは植民地を拡大し、「太陽の沈まぬ国」としての絶頂期を迎えるとともに、1851年にはロンドンで初の万国博覧会を開催、世界にその繁栄を示しました。しかし、都市労働者の厳しい生活環境や社会の不平等、階級間の格差拡大といった問題も浮上しました。

 

この独特な雰囲気と背景を持つヴィクトリア朝時代のイギリスは、多くの作品に題材を提供してきました。小説で言えばこの時代には、アーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズや、ルイス・キャロルによる不思議の国のアリス、さらにはジェローム・K・ジェロームのボートの三人男といった名作が生まれました。

 

ここでこの時代をモチーフにした漫画を2つご紹介します。

 

「バジル氏の優雅な生活」(坂田靖子:白泉社)

この作品は既に発表より40年ほどの時を経ていますが、読書の記憶は今も当時の思い出と共に忘れがたいものとして私の中に留まっています。物語の主人公、バジル・ウォーレン卿は一見するとプレイボーイとして振まい、いかがなものかと思って読み進めてみましたが、その背後の熱い正義感や、純粋で優しい心が描写されており安心いたしました。彼が時折見せるの好色ぶりには驚かされましたが、それとは裏腹に彼の深い人間性や葛藤が物語を通じて巧みに織り込まれており、それが読者を深く引き込む要因の一つだと感じました。また、この作品を通じて、ヴィクトリア朝時代の社交界の雰囲気や当時の風俗をふんわりと感じることができるのも大きな魅力です。

 

「エマ」(森薫:KADOKAWA)

この作品は英国メイド漫画のジャンルにおける第一人者、森薫先生の代表作として知られています。ヴィクトリア朝時代のイギリスの階級社会を背景に、メイドのエマと彼女の恋人との間に起こる身分を超えた恋愛の葛藤を描いています。読者は19世紀のイギリスの社会や風俗、そして階級間の摩擦や矛盾を深く感じることができます。そう言えば、夏前でしたが森先生の他の作品「乙嫁語り」の原画展を訪れる機会がありました。その際に、森先生の描くキャラクターや背景の書き込みの緻密さと、その深い情熱を目の当たりにし、深く感銘を受けました。

 

この他にも「ジョジョの不思議な冒険」(荒木飛呂彦:集英社)第一部も実はヴィクトリア朝時代が舞台ですし、先日第三部が無事に完結、モーニング誌に連載されていた「黒博物館」(藤田和日郎:講談社)シリーズもこの時代の物語です。

 

こうやってみると日本の漫画ってすごいなと素直に思います。ありとあらゆるジャンルが漫画になっているのではないかと思うぐらいです。紙媒体が衰退していく中、あとはどうやってそれを読者さんにお届けするかが課題ですね。これからの5年で漫画業界がどのように変貌するのかが興味深いです。

今号では僕、しちまるもちょびっとだけ出ています。みなさん、探してみてくださいね。