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講談社Kiss誌4月号が発売になりました!

このたびの能登半島地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、

謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。

被災地の皆様の安全と、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

2月24日(土)に講談社Kiss誌4月号が発売されました。我らが二ノ宮知子先生の「七つ屋志のぶの宝石匣」は先月号が休載でしたので2ヶ月ぶりの掲載となります。首を長くして待っていました。今回の舞台は扉の通天閣を見ていただければ分かる通り、なんと大阪です。刀剣の話も出てきますし、鎌倉編に引き続き大阪歴史探訪もございます。

扉の志のぶのコート姿が石ノ森章太郎先生のサイボーグ戦士っぽくて素敵です。志のぶが003フランソワだとすれば、西のアキちゃんは004ハインリヒでしょうか。いい感じで回を重ねていく「七つ屋志のぶの宝石匣」、次回も引き続き大阪からお送りいたします。期待して待っていましょう!

年明けから読んだ漫画で印象に残ったものをご紹介いたします。

『望郷太郎』山田芳裕

『望郷太郎』は、『へうげもの』でその名を知られる山田芳裕先生による漫画作品で、2019年から講談社「週刊モーニング」にて連載がスタートし、現在も連載中です。この物語は、2025年に地球を襲った前代未聞の大寒波から逃れるため、任地イラクのバスラで人工冬眠に入った舞鶴太郎が、500年の時を経て目覚めるという衝撃的なシナリオから始まります。目覚めた太郎が直面するのは、家族の不在と、根底から変貌を遂げた文明の瓦礫でした。

太郎の旅は、彼が生まれ故郷である日本の現状を確認するため、カスピ海沿いを北上し、シベリア鉄道の残骸を辿りながら東進する冒険の旅です。この旅の中で太郎は、さまざまな人々と出会い、新たな価値観や人間関係を学んでいきます。物語は、文明崩壊後の世界におけるサバイバルから始まりますが、やがて貨幣経済の根幹や通貨の本質といった深いテーマへとシフトしていきます。

文明崩壊後の世界でのサバイバル的な面は作者の打ち切り作品『度胸星』、人の持つ価値観という面では『へうげもの』の流れを汲んでいるのかなと思いました。おりしも株式市場では日経平均が最高値を記録しています。そんな時だからこそこの作品を読み、お金に関して色々と考えてみてもいいかもしれませんね。

『乾と巽 -ザバイカル戦記-』安彦良和

『望郷太郎』に登場するシベリア鉄道の残骸は、講談社「アフタヌーン」に連載されている安彦良和先生の『乾と巽 -ザバイカル戦記-』の舞台と重なります。『乾と巽 -ザバイカル戦記-』は2018年11月号から安彦良和先生の最後の連載作品として銘打たれてスタートしました。この作品は、『虹色のトロツキー』、『王道の狗』、『天の血脈』と続く安彦近代史三部作の集大成といえます。

歴史学者が時代区分のために用いる言葉で「長い19世紀」と「短い20世紀」という用語があります。「長い19世紀」とは1789年のフランス革命から1914年の第一次世界大戦の勃発までの期間をさし、「短い20世紀」とは第一次世界大戦から1991年のソビエト連邦崩壊、東西冷戦終結までの期間を指す言葉となります。その歴史の転換点で起きたロシア革命に対する干渉戦争のうちの一つがシベリア出兵です。

現代日本では何も得ることのなかった外征として意図して忘れ去られ、多くを語られることのないシベリア出兵ですが、『乾と巽 -ザバイカル戦記-』では二人の主人公、旭川第七師団の砲兵軍曹乾と新聞記者の巽の目を通してロシア革命を描写していきます。

学生時代は左翼思想に傾倒し挫折をした安彦先生、この物語を紡ぐことはその時に置き忘れてしまったものを探しに行くということなのかもしれません。最後の連載とは言わずにこの作品が終わったら肩の力の抜けた戯作っぽい作品を期待しています。安彦先生のキレッキレのギャグ、好きなんですよね。

『はいからさんが通る』大和和紀

『乾と巽 -ザバイカル戦記-』で取り上げられているシベリア出兵は、大和和紀先生の『はいからさんが通る』にも深く関わっています。この作品は1975年から1977年にかけて講談社「少女フレンド」に連載され、後にアニメ化や実写映画化された非常に人気のある作品です。『はいからさんが通る』では、主人公の紅緒の許嫁である伊集院少尉が、小倉第十二師団の歩兵小隊長としてシベリアへ出征し、パルチザンの襲撃に遭い、行方不明となります。そこから関東大震災まで物語は怒涛のように進行いたします。紅緒と伊集院は結ばれるのでしょうか、結末はいかに・・・

先日、再読してみたのですが、上げて下げて、遠ざかって近づいて、すれ違って交錯して、もう少女漫画の全てが詰まっていると言っても過言ではない作品だと再認識しました。絵柄も古臭さを感じることはございません。後半はシリアスな展開が続きますが、時折織り込まれるギャグパートも、当時の世相を反映していて懐かしく楽しく読むことができました。今年の大河ドラマ「光る君へ」の影響もあり大和先生の『あさきゆめみし』が注目を集めていますが、『はいからさんが通る』も負けないぐらい魅力的な作品なのでぜひ皆様も読んでみてください。

ちなみに45年前に放映されたテレビアニメはモスクワオリンピック中継のために打ち切り、とても中途半端なところで無理やり終了しています。テレビアニメ版でしか知らない方はぜひ単行本で最後までお楽しみくださいませ。

いやぁ、漫画って本当にいいものですね。では〜!