こんにちは!しちまるです。
暫定税率の廃止により、ようやくガソリン価格が落ち着くかと思われましたが、現実はレギュラー1リットルあたり200円に迫るほどの急騰を見せています。遠く中東の出来事が、私たちの生活コストに直結している現実を突きつけられます。
そんな騒がしい世界情勢のさなかですが、2月25日(水)には講談社『Kiss』4月号が発売されました。質屋・宝石漫画の金字塔『七つ屋志のぶの宝石匣』ももちろん掲載、今回は物語の核心に迫る「ダイヤモンド・ミステリー」が大きく進展しました。
©️二ノ宮知子/講談社
連載開始から12年。宝石業界における「合成(ラボグロウン)ダイヤモンド」を取り巻く環境も、大きく様変わりしてきました。今回も二ノ宮ワールドは絶好調ですので、気になる方はぜひ誌面で追ってみてください。
さて、今月の漫画紹介です。
現在、混迷を極める「イラン」、ニュースの断片だけでは見えてこない現地の空気感を知る上で、優れた漫画は最良の補助線。今回はイランの解像度が上がる2作品をご紹介します。
ー現在のイランが少しだけわかるかもしれない漫画ー
まず1作目は、田素弘(でん もとひろ)先生の『紛争でしたら八田まで』第10巻です。地政学リスクマネジメントを専門とする主人公・八田百合が、第10巻では現代のイランを舞台に知略を巡らせます。本作では、イスラム化する以前の「アケメネス朝ペルシャ時代」の遺跡を軸に、イスラム革命後の日常生活も克明に描写されています。
ここで描かれるのは、現地の人々が抱く「ペルシャ人としての誇り」と「ムスリムとして生きる規範」の間に横たわる複雑な葛藤です。イランという国が単色ではないことがよく見えてきて、現代世界の見え方を補ってくれます。また第2巻から第3巻にかけてはウクライナ情勢も取り上げられており、今読むとなおさら刺さる一作です。
(ちなみに、東西冷戦期に現在進行形で描かれた地政学・歴史ロマンの漫画では、浦沢直樹先生らの『MASTERキートン』も本当に面白かったですね。)
続く2作目は、戦闘機漫画の雄、滝沢聖峰先生の『シャーズパイロット』です。舞台は1979年のイスラム革命を挟んだイラン。親米政権(パフラヴィー朝)時代にアメリカから導入された最新鋭戦闘機F-14トムキャットと、その搭乗員たちの姿が描かれます。
かつての同盟国アメリカの兵器を維持し、革命後の混乱の中でイラン・イラク戦争を戦い抜く。これは一種の歴史の皮肉です。国家体制が激変するうねりの中で、彼らはイデオロギーとは切り離された「技術者・搭乗員としての矜持」を貫きます。
私自身、本作を読んだ際には本当に驚かされました。公式にはアメリカ海軍が1989年、シドラ湾事件でリビア機と交戦した際の撃墜記録くらいしか広く知られていなかったF-14が、歴史の陰でこれほどの戦果を挙げていたとは。絶望的な補給不足の中で高度な機械を維持し続ける現場の執念に唸らされます。
(F-14といえば新谷かおる先生の『エリア88』でのミッキーの搭乗機として敵機をじゃんじゃん撃墜していますが、あちらは極上の娯楽作品ということで、現実の撃墜数的にはノーカウントとします。とはいえ不朽の名作です。)
以上、現代イランの解像度が上がる2作品をご紹介しました。
最後に補足として。私たちが「中東」と一括りにしがちなあの地域には、アラブ世界とは明確に異なる現在のイランを中心とする「ペルシャ文明」の基盤があります。その華やかさと強固な自尊心の空気感を掴むのであれば、荒川弘先生・田中芳樹先生のペルシャ風ファンタジー『アルスラーン戦記』を一読されるのもお勧めです。『銀河英雄伝説』の田中先生、『鋼の錬金術師』の荒川先生、両巨頭のタッグ作品、面白くないわけありません、鉄板の面白さですよ。
イスラム化される以前の、世界帝国を築き上げたアケメネス朝やサーサン朝といったかつての栄華への記憶と、現在の厳格なイスラム原理主義体制。この二つの緊張関係が、現在のイランの複雑さを考えるうえで重要な鍵の一つなのでしょう。
宝石の奥底にある傷や内包物をルーペで覗き込むように、ニュースの表面的な数字だけでなく、背後にある歴史や文化を知ることで、遠い国の出来事も少し違って見えてくるはずです。皆さまもぜひ、これらの作品を通じて世界の動きを感じてみてください。
とんでもないことになっているペルシャ湾情勢、来月には収まっていればいいのですが、そうもいかないんだろうなと思います。しちまるでした!またね〜!













